東京都のアフォーダブル住宅について都営住宅住人が戯れ言語る。

今回のテーマは、東京都が発表した「アフォーダブル住宅」とは一体なにか、という話だ。

東京都は、家賃が高騰する中で、子育て世帯などを中心に「手頃な価格の住宅」を供給するとして、アフォーダブル住宅の拡大を打ち出した。
一見すると、住宅に困っている人を助ける、良い政策のように聞こえる。
しかし中身を見ていくと、これは単純な住宅福祉政策ではなく、東京都の都市経営と不動産戦略の話だと分かってくる。

☑都営住宅との決定的な違い

まず、アフォーダブル住宅は都営住宅とは違う。
都営住宅は、生存権に基づくセーフティネットであり、非営利を前提とした住宅だ。
一方、アフォーダブル住宅は、住宅供給公社JKK東京と民間企業が関与する、第三セクター的な住宅事業になる。

ここで重要なのが、JKK東京の立ち位置だ。
JKK東京は、都営住宅の管理も行っているが、実態としてはUR住宅に近い、準公営・準民間の不動産事業体でもある。
つまり、福祉とビジネスの中間にある存在だ。

☑福祉と不動産ビジネスが混ざる構造

この構造の中で、大手デベロッパーや建設会社が関与してくる。
東京都としては、すべてを自前でやるより、民間を巻き込んだ方が、資金面でもリスク面でも都合がいい。
結果として、住宅政策の中に、はっきりと不動産ビジネスの論理が入り込む。

☑都営住宅の消費税問題が示した実態

次に、都営住宅の消費税問題を見る。
都営住宅は本来、消費税課税事業者になるような性格の事業ではない。
それにもかかわらず、売電などの事業で利益を生み、年間で1億円を超える消費税を納税する状況が発生した。
これは、都営住宅がすでに「純粋な福祉住宅」ではなく、収益を生む事業体として使われていることを意味する。

東京都が進める再エネ政策の中で、都営住宅は太陽光発電の器としても活用されている。
つまり、住宅に住まわせるだけでなく、土地と建物を使って稼ぐ方向に舵が切られている。

☑アフォーダブル住宅は誰のための住宅なのか

ここで、アフォーダブル住宅の話に戻る。
アフォーダブル住宅として紹介されている物件の中には、都心で家賃20万円を超える住宅が、2割引き程度で提供されているケースもある。
家賃16万円台が「手頃」と言えるかどうかは、人によって評価が分かれるだろう。
少なくとも、生活に本当に困っている人向けの住宅ではない。

これは、住宅に困窮する人を救う政策というより、東京から中所得層・子育て世帯が流出するのを防ぐための都市政策だ。

☑都営住宅が増えなかった歴史

都内の民間住宅は、富裕層、海外マネー、法人需要によって価格が押し上げられている。
一方で、都営住宅は新築がほとんど行われず、総戸数は抑制されてきた。
結果として、普通に働いている家庭が、民間住宅は高すぎるが、都営住宅にも入れないという宙ぶらりんな状態に置かれている。

この流れは、石原慎太郎都政の時代から続いている。
石原都政では、約10年間、都営住宅の新築はゼロだった。
その代わり、都心にある古い都営住宅の敷地は、民間に提供され、高級マンションや再開発に使われてきた。

☑都営住宅用地はどう使われてきたか

南青山三丁目アパートの建て替えは、その象徴的な事例だ。
低層の都営住宅を解体し、タワマン型の都営住宅に集約することで、収容効率を高めた。
その上で、敷地の価値を最大限活かす都市計画が進められてきた。

この思想は、小池百合子都政でも形を変えて引き継がれている。
露骨に売却はしないが、用途転換、民間連携、アフォーダブル住宅といった形で、土地を動かしている。

☑東京都が本当にやりたいこと

結局、東京都がやりたいことは明確だ。
収容数が少なく、活用できる価値の高い都営住宅用地を集約し、土地を捻出し、都市として使いたい。
都営住宅を無くすのではなく、都営住宅が占有している「割に合わない土地の使い方」をやめたい、という発想だ。

この流れの中で、都営住宅はこれからも残るが、増えない。
そして、入りやすくもならない。
むしろ、用途転換や再編が進み、都営住宅はさらに狭き門になっていく可能性が高い。

☑結論。これは住宅福祉ではなく都市戦略だ

結論として言う。
東京都のアフォーダブル住宅政策は、住宅福祉ではなく、都市経営と不動産戦略の話だ。
そして、都営住宅に入りたいと考えている人は、条件が合うなら今のうちに動いた方がいい。
都営住宅は、いつまでも今の形で残るセーフティネットではない。
これは煽りではなく、東京都の住宅政策の歴史を見た上での、現実的な判断だ。

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